埋伏歯を放置するリスクとは?原因や治療法を解説
2024/10/20
こんにちは。東大島(江東区)の歯医者、クローバー歯科東大島です。
「左右で歯の本数が違う」
「永久歯がなかなか生えてこない」
その原因は、埋伏歯(まいふくし)かもしれません。
埋伏歯とは、顎の骨に埋まったままの永久歯のことです。
本人や家族に自覚はなく、検診や治療のために歯科医院を受診して埋伏歯があることを知る場合もあります。
埋伏歯の種類
完全埋伏歯
完全埋伏歯は、顎の骨に埋まっていて、外からは見えない状態の埋伏歯です。痛みなどの自覚症状もないため、自分では気づかずに歯科検診などで指摘されて知るケースがよくあります。
完全埋伏歯の中でも、骨の中でまっすぐに生えているケースや骨の奥深くに位置しているケースの場合は、周囲の歯や歯並びへ悪影響を与えるリスクが低いため、治療をせずに様子を見ることも可能です。
しかし、親知らず以外の歯が埋まっている場合や横向きや斜めに生えている場合には、両隣の歯を動かしてしまい、歯並びやかみ合わせを崩してしまうことがあります。
また、骨吸収が起こることもあるため、放置しておくのはよくありません。
不完全埋伏歯
不完全埋伏歯とは、歯の一部が歯ぐきから出ている状態の埋伏歯のことです。少しだけ出ている部分の歯は歯ブラシが届きづらく、清掃不良が起こりやすいというデメリットがあります。
そのため、虫歯や歯周病になりやすく、埋伏歯となっている歯はもちろん、周囲の歯にもトラブルを引き起こすリスクがあることから、基本的に治療をする必要があります。
水平埋伏歯
水平埋伏歯とは、歯が横向きに埋まっている状態の埋伏歯のことです。この場合、歯が生えようとして横向きに動いていくため、隣の歯が徐々に動いていってしまいます。
また、隣の歯の歯根を圧迫し、歯根吸収を起こすこともあります。そうなると隣の歯はぐらぐらと動くようになり、最終的には抜け落ちてしまいます。
押された隣の歯が、さらにその隣の歯まで圧迫してしまうこともあるため、注意が必要です。
埋伏歯の原因
歯に対して顎が小さかったり、歯のサイズが大きかったりすることで、歯が生えるスペースが足りないことが、埋伏歯の原因の一つとして考えられています。
また、虫歯などが原因で乳歯が早期に抜けてしまった場合や、それとは反対で乳歯がなかなか抜けなかった場合も、埋伏歯になることがあります。
そのほかには、歯と顎骨の癒着、外傷、疾患なども埋伏歯のリスクになります。
埋伏歯になりやすい歯
親知らず
前歯から数えて8番目の位置にある親知らずは、ほかの歯よりも生えるのが遅いため、生えるための十分なスペースがなく、埋伏歯になりやすい歯です。
埋伏しているだけでなく口の奥にある歯のため歯ブラシが届きづらく、虫歯や炎症につながりやすいという特徴があります。
ただし、親知らずの有無は人によって異なるため、外から見えないからといって必ずしも親知らずが完全埋伏歯になっているわけではありません。
糸切り歯(犬歯)
糸切り歯は、前歯から数えて3番目の位置にある歯のことです。
両隣の歯が生えてから生えることの多い歯のため、生えるためのスペースが足りないことが多く、親知らずの次に埋伏歯になりやすい歯として知られています。
この糸切り歯には、かみ合わせのバランスを決定したり安定させたりといった役割があります。
そのため、糸切り歯が埋伏歯となっている場合には、埋伏している歯を牽引する治療を行うのが一般的です。
過剰歯
親知らずを含めた32本の歯以外に歯がある場合、その歯のことを過剰歯と呼びます。
過剰歯は、余分に歯が生えてきている状態ですので、生えるためのスペースがなく埋伏歯になりがちです。
過剰歯がほかの歯の成長を阻害している場合や悪影響を与える可能性がある場合は、基本的に抜歯を行います。
また、ほかの歯に影響を与えない場合でも、歯としての機能を活用できる可能性は低いことから、抜歯を選択することが多くなっています。
埋伏歯を放置するリスク
歯の一部が歯ぐきから出ている不完全埋伏歯の場合は、虫歯や歯周病のリスクがあります。
埋伏していない歯でもこれらのリスクはありますが、不完全埋伏歯の場合は磨きづらさや隣の歯と接触していることにより、よりリスクが高いことが問題です。
親知らずが不完全埋伏歯となっている場合には、周囲が炎症を起こす智歯周囲炎のリスクもあります。
また、完全埋伏歯の場合には、歯並び・かみ合わせの悪化や歯根吸収のリスクがあります。
埋伏歯の治療法
抜歯
親知らずや過剰歯は、抜歯を選択する場合がほとんどです。埋伏歯の抜歯は、麻酔後に歯ぐきを切開し、埋伏歯を支えている歯槽骨や歯冠を削ったうえで、器具を取り付けて抜歯するという流れで行われます。
その後は洗浄や縫合が行われ、一週間ほどたったら再度来院し抜糸を行います。
また、埋伏歯の周囲に炎症がある場合はその炎症を鎮めてから抜歯処置が行われます。
牽引
牽引とは、不完全埋伏歯を正しい位置まで引っ張り出す治療のことです。糸切り歯が埋伏歯となっている場合などに選択肢となることが多く、必要に応じて歯肉を切開する「開窓術」を併用して行われます。
牽引は、ワイヤー矯正によって行うため、基本的には矯正歯科での対応となります。治療期間は3カ月から半年程度が目安となっていますが、埋伏歯の状況によっては治療期間が延びたり、再処置が必要になったりすることもあります。
また、埋伏歯の位置や形によっては、牽引が適さない場合もあります。
開窓術
開窓術は、歯肉を切開して歯冠を露出させる手術です。乳歯が早期に抜けたことで歯ぐきが固くなっている場合には、この手術を行い、永久歯が生えるのを待つことになります。
外科的手術ではありますが、日帰りで終えられる手術となっており、麻酔を使用するため痛みもほとんどありません。
ただし、基本的には開窓術と牽引を併用することで埋伏歯を正しい位置へ誘導するのが一般的です。
その場合は、開窓術で歯冠を露出させたうえで矯正器具を取り付け、正しい位置に動かしていきます。
まとめ
埋伏歯は、抜歯をする可能性も高いですが、矯正治療によって正しい位置に誘導できる可能性もあります。
大人になればなるほど骨と歯根が癒着して治療が難しくなりますので、できるだけ早い段階で、一度歯科医師に確認してもらうといいでしょう。
お子さんの場合には、前歯の生え変わりが行われる6、7歳ごろに矯正治療に対応している歯科医院で診察を受けておくと、埋伏歯を含めた今後のリスクを見極めやすくなります。
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